一次性頭痛

要点

  ①二次性頭痛を除外した上で、一時性頭痛を診断する
  ②一次性頭痛は原則、対症療法
  ③群発性頭痛を疑ったら、高濃度酸素投与も検討する

総論

一次性頭痛とは、器質的疾患によって起きる二次性頭痛を除いた、誘因が不明な頭痛のこと。
一次性頭痛は偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などに分けることができる。
一次性頭痛に緊急性はないが、生命を脅かす可能性のある二次性頭痛を除外出来て初めて一次性頭痛と言えるため、
慎重に診断を行なうことが大切である。

主訴

頭痛、嘔気・嘔吐など

General & Vital signs

Generalは様々だが、Vital signsは比較的安定している場合が多い。
疼痛による軽度血圧上昇または頻脈を認めることはある。
Vital signsに異常を認めるならば、二次性頭痛を積極的に疑って診療にあたる。

鑑別疾患

二次性頭痛(外傷、脳血管障害、脳腫瘍、髄膜炎、緑内障、側頭動脈炎、副鼻腔炎、椎骨・内頚動脈解離、顔面帯状疱疹など)

医療面接・診察

医療面接
  痛みのOPQRST
  既往歴(副鼻腔炎、緑内障の既往など)、頭部外傷歴
  脳血管障害のリスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、飲酒、喫煙、家族歴など)
  ※頭痛持ちの既往は一次性頭痛の可能性を高めるが安易な診断に注意する!
診察
  項部硬直、Jolt sign、Kernig singの有無(→髄膜炎
  瞳孔散大・対光反射の消失、視野・視力障害(→脳血管障害・緑内障
  Barre徴候などの神経学的所見(→脳血管障害
  眼球結膜の充血、散瞳(→緑内障
  副鼻腔圧痛および叩打痛(→副鼻腔炎
  顔面の皮疹(→顔面帯状疱疹
  側頭動脈の硬結、咀嚼時の疼痛増悪(→側頭動脈炎

危険な頭痛のKey words
①「突然」の頭痛
② 今までで経験したことのない「最悪」の頭痛
③「増悪傾向」にある頭痛
④「瞳孔不同

POUNDスコア
片頭痛のスコアリング。
 P: Pulsating 拍動性
 O: hOurs 持続時間 4-72h
 U: Unilateral 片側性
 N: Nausea 嘔気
 D: Disabling 日常生活に支障
4つ以上で片頭痛の疑いが強まり、2つ以下で片頭痛の疑いが弱まる。

検査

一次性頭痛の場合においては、検査はあまり重要ではない。
ただし二次性頭痛を疑う場合には、その考えられる原因に応じて検査を行なう。

頭部CT
以下の場合、頭部CTの撮影を考慮する。
 ・危険な頭痛の3つのKey wordsに該当する場合
 ・意識障害がある場合
 ・神経学的異常所見を伴う場合
 ・頭痛の性状・頻度・強度が変化した場合
 ・40歳以上で初発の頭痛

治療

一次性頭痛なら対症療法として鎮痛薬を処方する。
 ・軽症 :アセトアミノフェン 200mg 1回2〜3錠 頓用(頭痛時)
 ・中等症:ロキソプロフェン 60mg 1回1錠 頓用(頭痛時)

片頭痛・群発性頭痛の場合、以下の処方も考慮する。
 ・イミグラン®点鼻液(20mg/0.1mL/個) 1回1個 頓用(頭痛時)
 ・レルパックス®(20mg/錠) 1回1錠 頓用(頭痛時)
 ※心血管系疾患の既往のある人は禁忌。追加時は2時間以上空けて最大40mg/dayまで投与可能。

群発性頭痛の場合、高濃度酸素(12L/分以上)を15〜20分投与することで症状は改善する。
その他、嘔気などの症状に対して対症療法を行う。

Discharge or Admission Criteria

上記治療を行なった上でも疼痛の軽減を認めなければ、二次性頭痛を疑い精査する。
また慢性的に頭痛で悩んでいる場合は、頭痛外来へ紹介する。

一次性頭痛の鑑別

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