熱中症

要点

  ①中枢神経症状+深部体温40℃以上(Ⅲ度熱中症)なら上級医にコール!
  ②Ⅲ度熱中症なら急速冷却(霧吹+扇風機+冷生食)しICUに入院となる。
  ③感染症のワークアップも忘れない!

Points
・深部体温の測定を忘れない。
・熱中症の分類、合併症の有無を適切に評価する。
・感染症の合併を見逃さない。

総論

熱中症とは、体内の蓄熱量が増加して放熱量が追い付かない状態をいう。
軽症例から死に至る重症例まで重篤感は様々であり、迅速な対応が必要である。

熱中症の分類・症状

Ⅰ度(応急処置と見守り)
 症状:めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、失神
Ⅱ度(医療機関へ)
 症状:集中力や判断力の低下(JCS1以下)、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感
Ⅲ度(入院加療)
 次の3項目のうちいずれかを含む状態。
 ①中枢神経症状(意識障害JCS≧2、小脳症状、痙攣発作)
 ②肝腎機能障害(入院経過観察・入院加療が必要な程度の肝または腎障害)
 ③血液凝固異常(急性期DIC基準を満たすもの。最重症。)

General & Vital signs

Generalは良好なものから重篤な者まで様々である。
通常のバイタルサインに加えて、深部体温(直腸温)+尿量を測定する

鑑別疾患

悪性症候群、薬物中毒、痙攣発作、髄膜炎、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫)など。
また、熱中症の合併症の有無を確認することが重要である。
(DIC、横紋筋融解症、腎前性腎不全、肝機能障害、高尿酸血症、電解質異常)

医療面接・診察

医療面接
  発症状況、環境、水分摂取の状況、尿の有無・性状
診察
  意識レベル、脱水の評価(口腔内乾燥、腋窩の乾燥など)、神経学的所見

検査

血液検査:CBC、電解質、腎機能、肝機能、凝固(FDP・PT)、血液ガス(Lac)
     ※Ca・CK・UAを忘れない!(熱中症に伴う合併症の有無を確認する)
尿検査:尿定性、尿沈渣
    ※コーラ色の尿、尿定性で潜血(+)・尿沈査で赤血球(-)→ミオグロビン尿の所見
心電図:高K血症による心電図変化がないかを確認する

治療

①細胞外液の急速輸液
 自尿が得られるまで、細胞外液の急速輸液を行う(必ず冷生食にする必要はない)
②全身冷却
 深部体温が38℃台になるまで、積極的な全身冷却を行う(霧吹+扇風機)
★冷却方法★
1.裸にする
2.微温湯を霧吹きで吹きかけて、扇風機やうちわで風を送る→気化熱を利用
  ※冷水を使用すると末梢血管が収縮してしまい、shakingが起こり熱を産生するためダメ!
3.頸部、腋窩、鼠径部を氷嚢で冷やす
  ※38℃台になった時点で冷却の中止を検討する!(過冷却は低体温に傾く可能性がある)

Discharge or Admission Criteria

・補液で自尿が得られ症状が改善した場合には帰宅考慮可能。
・Ⅲ度熱中症や熱中症に伴う合併症を認める場合には入院。
・高齢者は乳児の場合は積極的に入院を考慮する。
・検査値に異常があり帰宅をする場合には、翌日にフォロー外来を入れるとよい。

診療上のポイント・アドバイス

・解熱薬や筋弛緩薬は無効である。
・有痛性痙攣の疼痛は非常に強いが、補液で症状は改善するため経過観察しかない。

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