気道熱傷

要点

  ①気道熱傷を疑った時点で、すぐに上級医に連絡する
  ②SpO2を過信せず、患者の呼吸数や呼吸様式に細心の注意を払う
  ③気管挿管の適応・必要性を迅速に判断する

Points
・気道熱傷を疑ったら早めに挿管。浮腫がでてからでは挿管困難。
・上気道の気道熱傷では受傷後24時間は注意深く観察する必要あり。
・一酸化炭素中毒の場合、SpO2があてにならないので注意。

総論

火災や爆発の際に生じる煙や有毒ガス、高温水蒸気などを吸入することによって惹起される種々の呼吸障害を気道熱傷という。
気道熱傷を伴う場合、一酸化炭素中毒を合併している可能性が高い。

主訴

呼吸困難、意識障害など
※症状がなくても、火災現場から搬送されてきた患者に対して、常に気道熱傷を念頭に置く!

General & Vital signs

意識レベル清明~低下まで状態は様々。
呼吸数や呼吸様式に注意を払う必要がある。
頻呼吸や努力呼吸は低酸素血症の病態を示すことがある。
SpO2の値はCO中毒の場合当てにならないため注意が必要。

医療面接・診察

医療面接
  受傷機転の詳細な問診(本人、救急隊、家族から幅広く聴取する)
  「火事の現場で熱い煙をすった」かどうかを確認(ただし本人が否定しても気道熱傷を否定しない!
診察
<気道熱傷を疑う所見>
  ①顔面・口唇・鼻周囲の熱傷
  ②口腔内の熱傷、疼痛
  ③焦げた鼻毛
  ④口腔・咽頭・鼻腔内の煤
  ⑤気道狭窄音(Stridor)
<気道熱傷の存在を確定的と判断する所見>
  ①嗄声や咽頭痛
  ②痰に煤が付着

検査

動脈血液ガス:CO-Hbの値も必ず確認!
血液検査:CBC、電解質、肝機能、腎機能、CK
尿検査:尿沈渣含む
胸部Xp、心電図、気管支鏡
※CO-Hb濃度と重症度は相関しないことに注意!患者の症状で重症度を判断する!
CO-Hbが低値であっても症状があれば油断しないこと!

横紋筋融解症
COの組織障害作用により、心筋や骨格筋のミオグロビンが傷害され、横紋筋融解症を合併する場合がある。
横紋筋融解症に伴う腎不全ミオグロビン尿の確認も忘れないこと。

治療

①ABCの確保
  ・重症気道熱傷と判断したら、迷わず速やかに気管挿管を施行する。
  ・挿管の有無に関わらず、ネブライザーの加湿と頻回の吸引を行い無気肺を予防する。
  ・人工呼吸管理はARDSに準じる(1回換気量:6mL/kg程度)。
②酸素投与・高圧酸素療法
  ・CO中毒が疑われたら、100%酸素投与を開始する。
  ・A-line挿入し、頻回にCO-Hbを確認する。
  ※CO-Hb<10%まで100%酸素投与継続する。
  ・高圧酸素療法の適応を検討する。
③熱傷管理(熱傷の項目を参照)

高圧酸素療法の適応
①心血管障害、神経精神障害あり
②CO-Hb>40%
③妊婦

Discharge or Admission Criteria

原則入院(高圧酸素療法目的に転院なる場合あり)

ページ上部へ戻る