急性喉頭蓋炎

要点

  ①外科的気道確保(輪状甲状靭帯切開)の準備をした上で、気管挿管を行う
  ②原因菌としてHaemophilus influenzaeが最多であり、BLNARを考慮しCTRXが第一選択薬!
  ③他のkiller sore throatを鑑別するためにCT撮影を考慮する

総論

急性喉頭蓋炎は、主にインフルエンザ菌によって引き起こされる喉頭蓋炎の炎症。
急速に症状が進行し、気道閉塞を来す可能性もある緊急疾患である。

主訴

咽頭痛、嚥下障害、発熱、吸気性呼吸困難など

General & Vital signs

Generalはsickなことが多い。発熱、吸気性呼吸困難、努力呼吸、含み声(hot potato voice)を認める。
※臥位になると苦しいため、前傾姿勢・スニッフィングポジションをとって来院することが多い!

鑑別疾患

扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、Ludwig’s angina(顎下膿瘍)、Lemierre症候群、アナフィラキシーなど

医療面接・診察

医療面接 ※原則として、気道確保が最優先!
  現病歴、既往歴、アレルギー、内服薬など、最低限の情報を確認する。
  咽頭痛、嚥下時痛の程度(「唾も飲み込めない」は注意!!
診察
  頸部:Stridor(吸気性喘鳴)、気道狭窄音を聴取
  咽頭:視診で明らかな異常所見なし!
※急性喉頭蓋炎を強く行う場合、舌圧子・喉頭鏡による咽頭部診察は行わない!(気道の完全閉塞を来す危険がある。)
※小児の場合、泣かさないように心掛ける!(泣くことで、喉頭蓋が腫れうるため)

検査

喉頭ファイバー:喉頭蓋の炎症・浮腫の確認
頸部単純・造影CT:他のkiller sore throatを確認

治療

①気道確保
  気道確保が最優先!外科的気道確保(輪状甲状靭帯切開)を準備した状態で気管挿管を行う。
  (万が一挿管失敗すると、喉頭浮腫が増悪し再挿管が困難になりうる。)
②抗生剤
  CTRX 2g×1/day(BLNARを考慮)
③ステロイド
  デキサート® 0.15〜0.6mg/kg div

Discharge or Admission Criteria

喉頭ファイバースコープで気道に異常がなければ帰宅可能。
気道狭窄所見や呼吸困難感、疼痛、嚥下時痛が強いときは入院。

診療上のポイント・アドバイス

咽頭に所見のない激しい咽頭痛・嚥下痛は急性喉頭蓋炎を必ず鑑別に挙げる!
挿管困難時は、輪状甲状靭帯切開を実施する。

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